346

ポセイドン・アドベンチャーの346のレビュー・感想・評価

4.5
あああ。エンターテイメントだ。

特典映像みたら、サブタイトルが「映画らしい映画への回帰」となっていて、まさしくそのまま映画らしい映画だった。

日曜洋画劇場でこれが放送された次の日、全国の小学生の話題をこの映画がかっさらっていったんだよな。そして自分はまったくみてなくて、ずーっと知ったかぶりで、「ああ、ジーン・ハックマンね」と、知ってる俳優を連呼してやり過ごした遠いあの日。

よく考えてみると1972年の映画が、20年後に放送されて、全国の小学生を虜にしたんだから、この映画のエンタメとしての完成度の高さをあらためて思い知る。てか、いまテレビで放送しても次の日の学校で話題になるだろうに、そういうのが最近なくなって悲しいな。

これを今まで観てなかったなんて悔やまれるけど、タワーリングインフェルノは小学生のうちに観ることができたから良しとしよう。


この映画を観て思ったことは、映画はやっぱり総合芸術だということ。芝居、脚本、音楽、映像、美術、そのすべてが噛み合っている映画に勝る芸術は存在しないんじゃないだろうか。
とくにエンタメ映画は低くみられがちな面があるけれど、逆に言えばそれほどエンタメ映画は難しいんだよね。それなのに、他の芸術のほうがエンタメ映画より偉いとか、格式高いとかいう人たちには、老若男女分け隔てなく、知識、教養のあるなし関係なく、一網打尽にこれだけ多くの人の心を揺さぶるものが他にあるものかと問いたい。理解する人が多ければ多いほど低俗だという考え方は嫉妬でしかないし、芸術を私物化して自己紹介したいだけの愚か者だと思う。

…いや、そんなことは強く思ってないけど、流れとしてそんなふうに書いてしまった。


と、まぁ話は逸れたけど、そんなエンタメ映画の中でも、とりわけ重要なのは演者と脚本。この質いかんで「そこで何か起こったか」を観客にそのまま体験をさせることができる。この映画にはそれがある。現に自分も1972年に製造されたポセイドン号にこうして乗船することができたわけだから。
やっぱり3D映画なんてくそくらえだ。
346

346