特撮技術の未熟な時代の映画だけど、迫力や臨場感はとても良く表現出来てると思う。
むしろその未熟さは、随所に見られるセットやカメラワークの工夫の発見に繋がり、メイキングを想像して楽しかった。
パニック映画の金字塔と言われる本作。
神と人とのあり方についての強いメッセージ性もあり、パニックの表現もスケールが大きく、天地逆という設定による冒険的な要素も面白い。
そして何よりも、そのなかで描かれる人物の個性やドラマが感動的だった。
40年以上の年月を経ても、評価が風化しないだけの力強さを持った作品。
以下ネタバレ含みます↓↓
ヒールでタフガイな背徳の牧師を通して、神と人のあり方を問うメッセージ。
“神は多忙ゆえ、個人が求めても無理。
祈りなど、バカらしい。”
そんな、神への冒涜とも取れる言葉を発する牧師は、人を信頼し、人を愛し、モーセのように人を導き、イエスのように自らの犠牲により人を救った。
終盤、牧師が神に問いかけるシーンがあるのだけど、神に対して発せられているはずなのに、まるで悪魔と対峙しているかのような問いかけだと感じた。
“もう、邪魔はしないでくれ!
何人犠牲になれば気が済むのか⁈
まだいけにえを求めるのか!
それならば私を殺せ!”
最終的に助かったのは、救いを待っていた人たちではなく、多勢に従った人たちでもなく、自ら行動を起こした人たちで、彼らの命を救ったのは、尊い犠牲になった〝人〟だった。
私はクリスチャンではないし、聖書の知識もないので、どう解釈していいのか悩みますが、悩む価値のある深いストーリーだと思います。