タイレンジャー

ポセイドン・アドベンチャーのタイレンジャーのレビュー・感想・評価

4.5
え?これって宗教映画だったの?

「人間ドラマも充実したパニック映画の傑作」というのが本作の一般的な評価だと思いますが、改めて観てみるとナルホド〜。確かにこれはバリッバリの聖書映画でしたね!

ゴツイ風貌のジーン・ハックマンが牧師の役?似合わね〜、と観る前は思ったのですが、それはまさに作り手の狙い通りでした。

スコットは格闘家とスポーツ選手としての経歴がある異色の牧師という設定なんですな。体育会系の牧師とはなんとも型破りなキャラクターではありませんか。

スコットが牧師として乗客たちに説教をするシーンがありますが、まるで試合前にロッカールームで選手たちを鼓舞しているコーチのようにしか見えないのです。

「苦しい時は神頼みではなく、内なる神に祈れ!
勇気を持って闘え!
神が求めるのは勇敢な者だ!臆病者ではない!
勝つ努力をせよ!神は努力する者を愛する!」

牧師というよりも、その風貌も相まってアメフトのコーチのような男です。

そんな体育会系の牧師が10人に満たない乗客を引き連れて、自力脱出という「正しい道」へと導く過程はそのまま「キリストとその使徒たち」に見立てることもできます。

何しろスコット牧師は千里眼の持ち主かというくらいの超人的な判断力を発揮します。全てお見通しなのか、スコットの「こうすれば助かる!」はことごとく的中するので、もはや神の子レベルです。

このスコット牧師が象徴する「危機に打ち勝つために人々を束ね、導くリーダー像」というものに、

・スポーツマン的
・キリスト的

という二重の意味合いを持たせてあるのが面白いですね〜。スコット牧師はジーザス筋肉クライストなのですな。