福福吉吉

お父さんのバックドロップの福福吉吉のレビュー・感想・評価

お父さんのバックドロップ(2004年製作の映画)
4.0
小学生の下田一雄(神木隆之介)は父の牛之助(宇梶剛士)がプロレスラーであることを恥ずかしく思っていた。一雄に認めてもらいたい牛之助は空手の世界チャンピオンに挑戦状をたたきつける。

ストーリーのテンポが良く、また、1980年代のコテコテの大阪が舞台になっていてコミカルさが前面に出しながらピリッと人情味のあるドラマを混ぜることによって絶妙な緩急がついていました。そしてプロレスという脚色はあれどハードな世界が丁寧に描かれていて、プロレス好きの私としても大満足でした。

一雄は非常に大人びた少年ですが、亡くなった母のことをずっと思っていて、母と映したビデオテープを大事にしており、年相応の寂しさを感じているように思いました。父に対して嫌悪感があり、プロレス嫌いである点がストーリーを面白くしていました。神木隆之介さんの子役時代の演技も上手すぎて良かった。

父の牛之助はプロレスという職業に全てを懸けており、また仲間思いの良い人物です。団体のエースとして活躍していましたが、所属の新世界プロレスの興行が思わしくないため、悪役に転向するのですが、見事な悪役ぶりで面白かった。また、新世界プロレスのプロモーターの菅原(生瀬勝久)と牛之助の喧嘩腰の絡みが面白くて良かった。宇梶剛士さんの肉体も鍛えられていて、プロレスラーの役がハマっていました。

とても面白い作品でした。プロレスという虚飾のある世界にある真実と夢の詰まった素敵な作品でした。

鑑賞日:2023年5月11日
鑑賞方法:U-NEXT
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