ハマジン

ドン・ジョヴァンニのハマジンのレビュー・感想・評価

ドン・ジョヴァンニ(1979年製作の映画)
4.0
奥行きの深いロージー的バロック迷路の先に蓋を開ける地獄の釜は、そもそも序曲のガラス工房ですでに予告されている。第1幕で農民の群衆が四方に開かれた建物の周りを無言で取り巻く不穏なくだりが、第2幕で石像によって反復されるのも必然。空間の内側へ内側へと(中心には地獄の業火が燃えさかる)ドン・ジョヴァンニを引きずり込むような設計。オペラの舞台ではできない映画ならではの演出。
饒舌で多弁な従者レポレッロに対置されるように、始終無言でいつのまにか画面のそこここに幽霊のように現れる、薄気味悪い美貌の小姓(劇の開幕/閉幕を司る役でもある)を演じるのは、イザベル・アジャーニの弟エリック・アジャーニ。
ハマジン

ハマジン