真魚八重子

慟哭の真魚八重子のレビュー・感想・評価

慟哭(1952年製作の映画)
5.0
ああ、オープニングがすごかった。佐分利信の映画っぽさ全開。子どもを失ってから気が狂い、二階で臥せっている妻。子どもの名前がどうのこうのとうわ言を言いつつ呻いている。夫で舞台脚本家の佐分利信は、心の中で(あーあ、こんな状況じゃ書けるものも書けやしない)と呟く。この正直さも怖い。妻の様子がおかしいので急いで見に行くと、こと切れているのだが……。この表情……。ヒッてなった。どういうつもりの演出?

妻の死後、新進女優が佐分利信にまとわりつくようになる。ものすごく周りに迷惑をかけるタイプの、自意識がほとばってるお嬢さんで、ずっと一人で佐分利信をかき口説いているのが、キム・ギヨン風味がある。小暮実千代の安定感。
真魚八重子

真魚八重子