爆裂BOX

デビルズ・ゾーンの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

デビルズ・ゾーン(1978年製作の映画)
3.6
ドライブ中の若者達が辿り着いたのは荒れ果てた蝋人形館。彼らはそこで不気味なマスクをつけた男に殺されていく…というストーリー。
スティーヴン・キングが自著「死の舞踏」で称賛したことで話題を呼んだホラー映画です。監督は「パペット・マスター」のデビッド・シュモーラー。本作がデビュー作で、テキサス大学の卒業制作で製作した短編映画を長編化した作品のようですね。
ドライブ中に乗っていたジープが故障し、近くにある蝋人形館の主人の老人に誘われた若者達がそこで不気味なマネキンのマスクをつけた殺人鬼に殺されていくという内容は「悪魔のいけにえ」の亜流の一つなんですが、この殺人鬼が超能力を使えてそれでマネキンを操るというのが斬新ですね。
ケタケタ笑いながらマネキンたちが飛び出したり、或いは口を開けて「ラ~」と叫びながら周りを取り囲み倒れこんでくる所は中々不気味でした。部屋に飾られたマネキンたちの目だけが動いて登場人物の動きを追う所も気味悪いですね。
殺害方法もポルターガイスト現象起こして鉄パイプ飛ばして胴体に突き刺したり、超能力を使ってスカーフで首絞めたりインディアン人形が投げたナイフが頭に突き刺さったりと殺人鬼自身が凶器使わず超能力でマネキン操ったりして殺していきます。ゴア描写と呼べるものはないですが、主人公達よりも先に捕まっていた女性が顔に熱々の石膏塗りたくられて窒息死させられる所は、心音と胸の動きが急にピタッと止まって静寂が下りてくる様が結構ショッキングでした。初めて見た時は軽くトラウマになりそうでした。
殺された人間はマネキンにされてしまいますが、終盤で助けに駆けつけた仲間の腕いきなり外して首ももぎ取ってすでにマネキンにされていたことがわかる所もギョッとさせられます。
殺人鬼が「俺の友達だ」とマネキンの生首掲げるたびに「ウワー!」と叫ぶ所や、マネキンと食事しようとする所等変にコミカルな感じの描写も印象的です。
チャック・コナーズが蝋人形館の主人の老人役で、見た目も渋くて主人公達にも親切なナイスガイとして登場します。殺人鬼は彼の弟ということですが、どう見てもコナーズが怪しすぎるんで中盤過ぎに明かされるタネ明かしも「まあ、そうだろうな」としか思えませんでした。ヒロインの背後の水の中から浮かび上がってくる所や終盤の狂いっぷりは見応えありましたね。
ヒロインのジョスリン・ジョーンズの恐怖に怯えた表情は魅力的でした。タニア・ロバーツにロビン・シャーウッドのセクシーな美貌も魅力ありました。女性陣は全員美人でしたね。エロ描写は無いけど。
ラストの何とも言えない狂った感じも妙な後味残してくれます。彼女もマネキンたちと暮らすのだろうか…
今の目線で見るとたいして怖さはないですが、それでもこの年代ならではの味のあるホラーになっています。余談ですが、「蝋人形の館」は内容的に「肉の蝋人形」よりも本作のリメイクと言っていいものになっていますね。