ハレルヤ

それでも生きる子供たちへのハレルヤのレビュー・感想・評価

それでも生きる子供たちへ(2005年製作の映画)
4.1
7つの国の映画監督が、それぞれの国の子供達が抱える問題を描き出したオムニバス形式の短編集。

アルジェリア、ボスニアヘルツェゴビナ、アメリカ、ブラジル、イギリス、イタリア、中国を舞台に、貧富やエイズ、薬物問題、ストリートチルドレン、少年兵など重いテーマがある世界中の子供達の現実。それを20分ほどの短編で映し出していく内容。

最初はドキュメンタリーかなと思っていましたが全て劇もの。なので各々の監督の力量が反映されるものになっています。リドリー・スコットやスパイク・リーと言った名の知れた監督も参加。

どれも短い時間ながら考えさせられる事が多く、話によっては胸が苦しくなるような場面もあり、密度の濃いエピソードばかり。本来なら1つ1つをしっかり語りたいところですが、メチャクチャ長くなると思うので、一番心に残ったエピソードを。

ラストのアクションの名匠ジョン・ウーが手掛けた中国の話。裕福で恵まれた環境にいるけど両親に振り回されて暗い表情の少女。その一方で捨て子で拾ってくれたお爺さんと貧しいながらも健気に過ごす少女。この2人のエピソードが素晴らしかった。

失礼ですがジョン・ウーがこんなドラマを撮れる事に驚きでした。全く違う境遇の少女たちの物語を巧みに交差させてラストでは涙が出そうになるほどの感動。この話だけなら点数4.5付けても良いくらい。テーマとドラマの両立がしっかりと成されていて非常に高い完成度だったと思います。

学校に行く事。この事が当たり前ではない国も多く、幼い頃から貧困や劣悪な家庭環境、紛争などに巻き込まれて学校に行く事も出来ない子供が多い現実を改めて痛感しました。

その原因も全て大人たちによるもの。重めなテーマですが間違いなく一見の価値ありな作品でしょう。
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