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菊次郎の夏の42のレビュー・感想・評価

菊次郎の夏(1999年製作の映画)
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痛いくらい不器用な優しさ。同じ痛みが分かるからその不器用さがどの優しさよりもあたたかい。
抱きしめ方も頭の撫で方もぎこちない。名前を聞かれて恥ずかしそうに照れて悪態つく愛おしさ。

ダメダメだけどすごくいいね菊次郎。
子どもの頃はああいう思い出を作る機会がなぜか多くあるけど、大人になると自分から行動しないとそういう機会がなかなかない。最初は渋々だったとしてもだんだん距離が近づいていく。よそよそしさもなく、かといって全くの無責任でもなく血の繋がりもないけど近くも遠くもない程よい距離感。

最後まで「お前は捨てられたんじゃないぞ」のスタンスを崩さない菊次郎ありがとうね。真実を見たときの菊次郎の表情忘れられない。ちゃんとショックを受ける純粋さ。正夫にはたまに会いに行ってほしいな。「なんだよ坊主また来たのかよ!」とか言いながらも照れ笑いしてる菊次郎が目に浮かぶ。

久石譲の『Summer』の良さ。聴くと夏の煌めきとか流れる風のような涼しさ、遠い記憶の寂しさが思い起こされる。夏が年々苦手になっているから好きな夏の映画が増えていくのは嬉しい。
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