サプライズ

菊次郎の夏のサプライズのレビュー・感想・評価

菊次郎の夏(1999年製作の映画)
4.3
帰路の思い出

北野武映画でもかなり名高い本作。噂通りの秀作だった。写真でしか見た事のない母親に、近所の面識のないおじさんと一緒に会いに行くという、ただそれだけの映画。なのに、笑ったり、悲しくなったり、心温まったり、色んな感情に襲われる。作風は1個前の監督作「HANA-BI」と激似。一生忘れられない数日間。喜んだのは、喜ばせたのは誰?ヤクザを封印した(ほんのすこしはある)話なのに、最もタケシらしく不器用で優しい作品。ああ、好きだなぁこれ。

目的や夢って、達成する瞬間より追い求めている時の方が断然長い。だから、達成するかどうかなんてどうでもいい。大事なのは道中なんだ。旅の終わり、彼は言う。「またな。」と。自分に居場所ができたな、そう思えるだけで明日が頑張れそう。変にドラマティックな展開に持っていかないさりげないラストが、余計に刺さってしまう。

2024-65
サプライズ

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