これほど戦争における狂気というものを克明に描いた作品はないのではなかろうか。
日露戦争の旅順要塞攻略戦での203高地における激闘を描いている。
序盤、ロシアとの友好を願う平和主義者だったあおい輝彦演じる主人公がその理想を砕かれ、逆にロシア人に対する憎しみへと転化していく様は心が重くなる。
一方で戦況に沸き立つ民衆の姿を描くなど戦争の悲劇性、異常性からも目を反らしてはいない。
とりわけ近代の対要塞攻略の勝手が解らず、ただただ無意味な突撃を繰り返し、機関銃掃射に倒れていく兵士達の姿は画面を見続けるのが辛くなるほどにきつい。
爽快感などは一切ない映画ではあるが、一生に一度は観てほしい作品。