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二百三高地のrkasaiのネタバレレビュー・内容・結末

二百三高地(1980年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

時代を描いた作品としても価値がある。多くの日本人に観てもらいたい。

乃木希典を坂の上の雲では過小評価しているが、、という感想も読んだが、その点はこれを観てもどうかはわからない。たしかに、坂の上の雲を読んだときは指揮が現場を見ずに何をやっているんだと思った記憶はある。ただ、これを観て思ったのは、指揮官には想像以上の想いの重圧があるんだな、ということ。

特に最後の明治天皇の前での報告のシーンはそれが如実だ。また、惨敗ムードでの奥さんの毅然とした態度と、勝った後の息子を亡くしたことも相俟っての放心というか、生気の抜けた佇まいは何ともいえぬコントラストであった。世間も石を投げていたのが、「万歳」だからほんといい気なものだ。その何年後か、崩御されたのちに自刃されていることもそうなのかもしれない。

また、この映画は将軍だけでなく、一平卒も含めてとてもよく描かれている。豆腐屋、ヤクザ、小学校教師、片親の父親など。それぞれの境遇がありつつも、同じ組織として叱咤かつ支え、仲間という言葉では表現できない戦友となっていく。そして、その変化。ロシア文学を愛し、ロシアを敬愛した人物の変化も。

いま、『満州事変』と『帝王学』を読んでいるが、この時代背景から日本は今後の戦争へ進んでいくし、帝王学に出てくる凄まじい人たちはこういった背景の中を生きてきた人物なのだなと。

同時代の映画として製作費の規模と内容的にも素晴らしいものとして、「空海」と一緒にオススメです。
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