一人旅

山河遥かなりの一人旅のレビュー・感想・評価

山河遥かなり(1947年製作の映画)
5.0
フレッド・ジンネマン監督作。

戦争で母親と離ればなれになった少年と米兵の交流を描いたヒューマンドラマ。
戦争によって心に深い傷を負い他人に心を閉ざす少年カレル。カレルの腕には収容所番号が刻まれていたり、母親とカレルを隔てたフェンスの絵に対し反応を示すなど、カレルが抱える暗い過去を想像させる。
米兵はカレルに親身に接し、硬直した心を解きほぐそうとする。カレルが安心して一緒にいられるようにわざと部屋のドアを開けっぱなしにし、いつでも米兵の元から逃げられる環境を用意したりして、次第にカレルの信頼を獲得していくのだ。暗い表情で口もきかなかったカレルが明るく子どもらしい表情を取り戻していく姿に感動する。
カレルと米兵の心温まる関係はもちろん、カレルの行方を必死に探し続ける母親の気持ちも痛いほど伝わってきて、分かっていても泣けてしまう。

米兵に扮したモンゴメリー・クリフトの演技が素晴らしく、カレルを見つめる優しい眼差しが印象的だった。
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