かめの

山河遥かなりのかめののネタバレレビュー・内容・結末

山河遥かなり(1947年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます


公開は、終戦から2年後の1947年。舞台はドイツだが、良くも悪くも戦勝国アメリカだからこそ作れた作品かもしれない。

序盤描かれているように、大人たちに怯え、強制収容所にいた頃の後遺症を抱えた子どもたちがたくさんいただろうことを思うと、辛くてたまらない。

カレルは幸いにもアメリカ兵のスティーブに助けられ(それがアメリカ兵というのが、いかにも……ではあるが)、最後母親とも再会できたが、それはほんの一握りに過ぎないのだろう。だからこそ、この作品が尊く、素晴らしくみえる。

救済院の女性が駅でカレルの母親を見つけ、寄り添いながら話す二人の背中には過去と現在、未来への希望が見えて、21世紀の映画ならここで終わるんじゃないかとすら思えた。きちんと再会まで描ききるのがこの時代らしいし、作品への責任を果たしている気がして好ましかった。
かめの

かめの