モカ

山河遥かなりのモカのレビュー・感想・評価

山河遥かなり(1947年製作の映画)
3.9
子を探す母、母を探す子。
いつの世もこの題材にはハズレが少ないね。完璧さを期待してはいけないものの、心を揺さぶられる良作。

しかも制作が1947年て、第2次終結から2年しか経ってないじゃないか。
戦争の爪痕が残された中で撮影された事もあってか、戦禍をまぬかれなかった市街地の生々しさなど、映像中に漂う雰囲気がやたらと時代のそれを思わせてくれる。

ここでは米軍はあくまで善として描かれているが、当時の戦争を実際に経験した観客などは、再び映画の中で争いの副産物たる戦争孤児の問題を見て、一体何を感じたのだろうか?

事の客観性はともかく、人間の過ちから生じた社会問題を浮き彫りにしたいという、フレッド・ジンネマン監督らしい信条は痛烈に感じられます。

また邦題の『山河遥かなり』は、かなり思い切ったネーミングだね。
確かに原題が至ってシンプルだから、直訳しただけじゃ少し味気ない気もするよ。
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