この映画は特に何か目立った主張というか、趣旨というものはないのだけれど、でも所々で涙がにじむような作品である。目で見える、表面上に存在することを解釈するだけでことを終わらせるのか、それとも心の目で、自分の利口な瞳で、可視化することは決して不可能である真実と向き合い、何の偏見にもとらわれず、自分の頭を使って物事を考え抜くのか。この二つには大きな差が存在していて、このようなものの捉え方ができる人とできない人とでは人生の豊かさが違うんだろうと感じた。この映画の最後の場面に映し出されたウィリアムブレイクの詩―。
一粒の砂に 一つの世界を見
一輪の野の花に 一つの天国を見
てのひらに無限を乗せ
一時のうちに永遠を感じる
今こうして、文字として自分が感じたことを書き起こしていることでこの詩の意味が解釈できるように感じる。自分の利口な瞳で一粒の砂を、一輪の野の花を見て、そこから一つの世界を、一つの天国を見る。このようにして物事一つ一つと丁寧に向き合うことで、今という一時に永遠を感じることができるようになり、物事の真実を捉えられるようになる。
見終わった後に、心がポッと温まるような、そんな映画だった。