紅孔雀

弾丸特急ジェット・バスの紅孔雀のレビュー・感想・評価

弾丸特急ジェット・バス(1976年製作の映画)
4.6
君は「弾丸特急ジェットバス」を見たか?!
そう高揚して叫びたいほど好きな、1970年代パラマウント製作のおバカ映画です。古い映画なのでFilmaのレビューも少ないのですが、それでも評価は真っ二つ。“悲劇は観客を選ばぬが、喜劇は観客を選ぶ”という格言通り、好きと嫌いが180度分かれる問題作(?)です。
殆ど公開同時に映画館で観て、そのブラックユーモアぶりに欣喜雀躍。もう一度観たいとの願いが、この度(H30/2)CSで放送されて、長年の喝が癒されました(DVDも発売されてたようですが…)。
コーフンして本作独特のユーモアを報告していませんでしたが、なかなか文章でその脱力ぶりを伝えるのは難しいんですね。それでも無理して幾つか例を挙げてみます。
①主人公の運転手は、かつて山でバスを運転して遭難。乗客110人を食べて生き延びた、という伝説の人物です。彼曰く「体重が80kgから100kgになったのは、シートを食べたから。助手が乗客を食べ、知らなかった自分は、彼の調理したスープの中の足を食べただけだ!」
②無駄に大きい原子力バス(2連結!)の登場時には『2001年宇宙の旅』の「ツァラトゥストラはかく語りき」が壮大に鳴り響きます。このミスマッチ感がたまりません。
③乗客は、不信心の神父、離婚結婚を繰り返すバカップル、半年後に死ぬので世界7不思議を見たい男、父親の「足」を運転手に食べられて恨んでいる娘(!)など多士済々です。
④何故か、バーラウンジみたいな一角があって、能天気なピアニストが場にそぐわぬ演奏を続けるのですが、その彼が、時限爆弾が爆発した時に放つ一言が絶品。すなわち「さすがの私もなんともはや」

そして、運転手が管制センターに報告する一言が、本作最高の決め台詞となりますー「高度は…地上だ」 それなら降りればいいのにぃ、というのが、このコメディ映画の最大の肝。乗り物パニック映画のパロディは、道路をドタドタ走る“原子力バス”にトドメを刺すのであります。これに比べると、空中の「フライングハイ」も鉄路上の「大陸横断超特急」も、まだまだ設定が生ぬるい! そう思うのは、贔屓の引き倒しでしょうかねぇ。
紅孔雀

紅孔雀