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西鶴一代女のmamのネタバレレビュー・内容・結末

西鶴一代女(1952年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

井原西鶴「好色一代女」をベースに、壮絶な女の転落劇を描いた溝口健二監督作品。リヴェットの修道女は本作に影響を受けているよう。

身分違いの若者と恋に落ち、一家は洛外へ追放となり男は斬首。3万石大名の側室になるよう促され待望の若殿まで産んでいるのに、里に帰されたからといって島原の郭に娘を売ってしまう父親の非道さよ。その後も男に利用され地を這いつくばうような苦しみを味わいながら流転を続け、ついには老醜の街娼にまで落ちぶれてしまう。
そんな中、先代の後を継ぐことになった若殿が生みの母を探しているという。一緒に暮らせると思った喜びも束の間、重役たちに汚れた過去が知れてしまい、また放浪の人生となってしまう...。何とも切なくやるせない...。

島原に身を落としてさえいなければ、次々と降りかかる災難も回避できたかもしれないのに...。まるで玩具のようにあちらへこちらへ売りつける父親が、つくづく憎い。

束の間の幸せだった扇屋との結婚での、扇づくりに見入ってしまったな。

2023-91
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