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西鶴一代女のCAPのレビュー・感想・評価

西鶴一代女(1952年製作の映画)
3.7
見るべき、名作映画 2本目

溝口健二の作品 “西鶴一代女”
井原西鶴の浮世草子「好色一代女」が原作

1950年代に撮影された江戸時代が舞台

人生は無情
これに尽きる映画でした。

身分違いの恋をしたために、お春は御所から人生転落していく、どこまでも落ちていく。
お春は何も悪くないのに、畜生共がいる。

序盤の勝之助の叫びが全てでした。
本当にそうであってほしかった。

お春の人生を見せてもらった。
これも人生の一つだけど、受け入れ難い。
幸せになるってこんなにも難しいものかと知らされます。



江戸時代の言葉や制度を知らなくて少し苦労したけど、調べつつ鑑賞することで勉強になりました。

唯一、笑えたのは猫ちゃんでの復讐
江戸時代から鈴付きの首輪をタマはつけるんだなぁってもなる

よく、今作は長回し・ワンカット撮影などが評価されたと耳にしますが
自分では何がどうよくて、革新的だったのななど知らないことだらけ。

意味深な無音のシーンもあったけど、やたらインパクトがある
それがどういうシーンなのか説明はないけど
強く刺さった
目を背けちゃいけないような感覚すら覚えました。



====以下内容に触れます====




女は真実の想いに結ばれて生きて始めて幸せなのでございます。


身分などなくなって、誰でも自由な恋ができる世の中になりますように。



勝之助の言葉が序盤だけどクライマックスで
本気の願いが込められてた

勝之助と惹かれ合わなければ、こんなことにならなかったのか

勝之助と逃げられたらよかったのか

たらればを考えてしまう。


愛した人は身分違いの罪で殺されて、お春は京都から追放
江戸の殿様に気に入られて連れて行かれ子を産まされ、その子とは産んだっきり

役目がすんだから親元へ返される

親には金がないから島原遊廓へ売られる

髪まで嫉妬で切られる

よくやく優しい人に巡り会えて幸せなのに殺されてしまう

尼にもなれない、クソ野郎のせいで



もう、何をどうしたらいいんだよ


絶望しかなかった


時代が制度が父親が男たちが
彼女を物のように扱うから

世継ぎのために
家のお金のために
男の欲のために

彼女を物扱いするから

お春の尊厳が傷つけられる
最後には尊厳どころじゃあない
生きるか死ぬかまで落ちてしまう

前作の”お遊さま”よりもずっとずっと厳しい人生を見せられました
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