見るべき、名作映画 2本目
溝口健二の作品 “西鶴一代女”
井原西鶴の浮世草子「好色一代女」が原作
1950年代に撮影された江戸時代が舞台
人生は無情
これに尽きる映画でした。
身分違いの恋をしたために、お春は御所から人生転落していく、どこまでも落ちていく。
お春は何も悪くないのに、畜生共がいる。
序盤の勝之助の叫びが全てでした。
本当にそうであってほしかった。
お春の人生を見せてもらった。
これも人生の一つだけど、受け入れ難い。
幸せになるってこんなにも難しいものかと知らされます。
江戸時代の言葉や制度を知らなくて少し苦労したけど、調べつつ鑑賞することで勉強になりました。
唯一、笑えたのは猫ちゃんでの復讐
江戸時代から鈴付きの首輪をタマはつけるんだなぁってもなる
よく、今作は長回し・ワンカット撮影などが評価されたと耳にしますが
自分では何がどうよくて、革新的だったのななど知らないことだらけ。
意味深な無音のシーンもあったけど、やたらインパクトがある
それがどういうシーンなのか説明はないけど
強く刺さった
目を背けちゃいけないような感覚すら覚えました。
====以下内容に触れます====
女は真実の想いに結ばれて生きて始めて幸せなのでございます。
身分などなくなって、誰でも自由な恋ができる世の中になりますように。
勝之助の言葉が序盤だけどクライマックスで
本気の願いが込められてた
勝之助と惹かれ合わなければ、こんなことにならなかったのか
勝之助と逃げられたらよかったのか
たらればを考えてしまう。
愛した人は身分違いの罪で殺されて、お春は京都から追放
江戸の殿様に気に入られて連れて行かれ子を産まされ、その子とは産んだっきり
役目がすんだから親元へ返される
親には金がないから島原遊廓へ売られる
髪まで嫉妬で切られる
よくやく優しい人に巡り会えて幸せなのに殺されてしまう
尼にもなれない、クソ野郎のせいで
もう、何をどうしたらいいんだよ
絶望しかなかった
時代が制度が父親が男たちが
彼女を物のように扱うから
世継ぎのために
家のお金のために
男の欲のために
彼女を物扱いするから
お春の尊厳が傷つけられる
最後には尊厳どころじゃあない
生きるか死ぬかまで落ちてしまう
前作の”お遊さま”よりもずっとずっと厳しい人生を見せられました