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西鶴一代女のtackyのレビュー・感想・評価

西鶴一代女(1952年製作の映画)
5.0
溝口の最高傑作と言われている作品。
田中絹代が、10代から60代まで、落ちて行く女性を、見事に演じている。

再見してみて、ロングショットを多用しているが、意外にシークエンスは短く、テンポ良くまとめられていて、ビックリした。
一人の女性に降り注ぐ不幸を、コレでもかと観せるテンポの良さと、無駄の一切ない演出には、感銘を受けた。

ロングショットの素晴らしさも、有名な化け猫の真似をするシーン、若殿を追いかける城の長い廊下のシーン等、快挙のいとまがない。

人間全員、平凡な人生など無い。「嫌われ松子」もそうだったが、色々な事を経て、皆老人になるのである。
その点、お春のラストシーンには、何故か胸を撫で下ろす自分がいて、結構壮絶な物語だったが、心穏やかな後味の残る作品だった。
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