このレビューはネタバレを含みます
題:溝口監督最高なお春の性、ジャポン
1952年、ヴェネチア映画祭国際賞受賞。原作井原西鶴。脚本依田義賢。監督溝口健二。
日本映画の四大巨匠
日本の侍映画と黒澤ヒューマニズムを描いた黒澤明
規定アングルにおさめた日本人の礼と節と別れとラブ、小津安二郎
多岐にわたる一般市民の様を時にミステリーに時にサイコに乱れて、流れるドラマを表現した一番好きな巨匠、成瀬巳喜男
古典の再現と女性達の生き様を得意とした溝口健二。 今回はその四巨匠の中から溝口監督作品。
長らくレーザーディスクのみ。ビデオ発売なし。 発売なかなかされなかった溝口作品の最高傑作といわれていた本作。
溝口のドキュメンタリー、新藤兼人監督の「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」を鑑賞。こだわった作品として本作の逸話は、数々聞いていました。
なかなか見れてないですが、今までの溝口鑑賞おさらい。
私の一番好きな作品、非常で 非情で貫いた愛「近松物語」
国産女優第一号といわれた「女優須磨子の生涯」
遺作は、どっぷり現代劇につかり、赤線の女性達を描いた「赤線地帯」
そんな感じであります。一部溝口作品は、大映DVDで再発売されてます。
初期作品、サイレント作品は、ビデオのみでしょうか。長年ずーっと見たかった作品鑑賞しました。
カメラがガンガン動くんですよね、それにびっくりしました、まず。スコセッシの映画みたいに動きます。
この四大巨匠の中できっと一番カメラワークを重要視したのは、溝口監督かもしれませんね。
そして、それがのちヌーヴェルバーグの作家達(ゴダール、ジャックリベット、時代違うけどベルトリッチ等々)に模倣される元になった理由をようやく確認できましたね。
四大巨匠の中で一番カメラワークがガンガンしているのは、溝口監督なんですね。
俯瞰からの天井ショットからの横移動
田中絹代を背中越しからの全体歩行移動ショット
素晴らしいカメラワーク必見ですよ!劇的刺激的に目に焼き付けてくれます。
あと人形浄瑠璃も ちょっとうつります日本文化が垣間見みれますよ!
物語は、井原西鶴が原作。
井原西鶴って日本史でこういう作品を書いた人だ覚えておくようにと記憶した代名詞にしか思えない、歴史上物書きですよね。
田中絹代演ずる、前途多難ないばら恋の道を行く「お春」の恋物語でございます。
ラスト付近の田中絹代の顔面!必ずみてほしいですね!私は思わず その演技に涙してしまいました。
田中絹代と溝口監督は、ひそかに恋愛関係だったと新藤監督がドキュメンタリーで言ってましたが、
本当に女優 田中絹代という この方は 立派な女優さんなんだなと
私は本作を 見てビンビンに感じました!
さぞ溝口監督にしごかれたんだろうなぁ、それはラブに発展するだろうなぁとなんとなく夢想妄想 。
特典映像を見ると本作、溝口監督、スランプ時期だったようで、独立プロ作品だったようですね。
スタジオも借りれず 大変苦労して撮影していたようです。児井プロダクション提供。
カメラマンも「山椒大夫」「雨月物語」で脚光を浴びる宮川一夫さんじゃなく、平野好美さんという方でした。
劇中の絹代さんの口からはかれる息が寒さでゆらいでいましたね、、。
そして内装や衣装の素晴らしい細やかな再現は、独立プロと いえども素晴らしい見栄えこれぞ、日本文化と言える着物、建築、男たち。
私は絹代さんが幕府に使えた時、乳母室のような部屋の奥にあったやや巨大なぬいぐるみのような力強い赤子置物がインパクト大でありました!ちょい必見。
音楽も素晴らしいですよ!
あと三船敏郎さんも、まだ駆け出しの若手でしょうね、必見です!
あとあと大泉滉さんもいつもの女々しい色男ぶりをふりまいてます!
溝口監督が魅せる
不義でも みっつうでも
真に思う人と添い遂げたい
今じゃあたし前 昔じゃ 罪と罰で追放出ていけ!やっかい払い!のラブに
ラストの素晴らしい立ち振る舞いのお春さんに涙がでました!
そして何より素晴らしい作品に出会った、出会えた時に私に沸き起こってしまう感情
この先!!!
いったい!!!
どう?なるん?
と ラストまで食い入るように口があっぽーんと あいてしまうような夢中感覚体験を魅せてくれる作品こそ名作、まさしく星5つな作品なんでございます。
田中絹代という女優さんの様々な喜怒哀楽を見て魅せられる映画になっています。今の女優さんも良いですが、 本当に凄い女優さんだと田中絹代さん本作見て確実確信しました。
さて
溝口監督が魅せます
ライブオブお春
溝口マスターピース、お春の性
ぜひ!日本映画巨匠監督の名作
力強くレコメン!