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ハロウィンH20のarchのレビュー・感想・評価

ハロウィンH20(1998年製作の映画)
4.0
ハロウィンシリーズの中でもここまで1作目の良さを引き継いでいる作品はないでしょう。
一作目の良さは殺しすぎないことにあり、彼の恐ろしさはフレーム内に出現し消えることで、その存在の浮き沈みさせることで生まれる。そこにカーペンターの音楽等の見事な演出が施されて、後に絶大的な影響を与えることになる殺人鬼となっていたわけです。
本作は、その「殺しすぎない」と「音楽」の部分が非常によく、タイトに作られている印象を受ける。序盤は多少ダレているが、後半に向けて「殺さない」でただ予感を感じさせることに徹底していてるだから仕方がない。
後半だが、何よりクライマックスのローリーとの一連の流れはカメラワークが完璧であり、後半だけで傑作だと言える。ローリーとマイケルが鏡像関係にあるようなショットであったり、意趣返しともいえる2階からの突き落とし。そして何より「舐めない」姿勢があり、マイケルの入ったずた袋を乗せた車を強奪するところの勢いは凄い。明らかにリメイク版は、本作に基づいたプロットであろう。
ローリーとマイケルの血が繋がっている設定は、個人的にはマイナスポイントで、シリーズ5作目のジェイミーとマイケルの和解?の下りはゾッとしたのだが、その点、本作のラストは素晴らしい。ある意味、血筋主義的なものを断ち切るラストだといえる。
ドア越しの対面のシーンが示唆するように、本作は兄に向き合う物語であり、その姿勢がなによりすばらしかった。
ハロウィンシリーズでまさかこんないいものが見れるとは。

マスクは相変わらずダサくなる一方だが。

余談
・ジェイミーは当初、ジョン・カーペンターに監督を依頼したが断念したらしい
・『サイコ』のジャネット・リーが"マリオン"役で登場 女性シャワー室うんぬん、『サイコ』と同じ車に乗り込む。
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