渡瀬恒彦の主演映画の中でも抜きん出てマイナーだと思われるが、”チンピラとしての渡瀬恒彦”に求めるものが一通りあると言っていいんじゃないだろうか。

任侠映画の部類に入るが、「現代やくざ」系の少し変わった筋書きだ。
親分(小松方正)の兄弟分(丹波哲郎)に喧嘩を売ってしまったチンピラ3人組(渡瀬恒彦・ジェリー藤尾・川口恒)が、小指と引き換えに丹波哲郎の鉄砲玉として引き取られるという話。
川崎から東京に移り住み、キャッキャとハシャぐも、敵対する渡辺文雄の組によってやがて一人ずつ死んでいく…
こういう映画が下敷きに合って『鉄砲玉の美学』があるのだろう。

ヒロインの范文雀はヤクザによってマリファナ中毒に落とされているという設定で、ドラッグパーティやサイケ演出が見られたり、モップスのライブが長々と映されるのはいかにも時代的。
梅宮辰夫は「不良番長」として登場する。不良番長がゲスト出演する映画は何本目だろう。
ジェリー藤尾も少し頼りない兄貴分として活躍するが、この人も渡瀬恒彦と並んで芸能界喧嘩最強説が根強い。
喧嘩最強説にはあまり興味ないが、確かに2人揃うと迫力である。

• #不良番長シリーズ

それにしてもほんとこのチャンネルは渋い作品を挙げてくれるな。未ソフト化作品。そして、しかも初投稿。
珍しく渡瀬恒彦が歌ってまっせ。
時代を感じさせる眩いばかりの夜のネオン街。問題を起こして組を抜けさせられた3人組が結成した新宿親衛隊。親衛隊という言葉の響きがもうすでに古臭い。タイプキャストのきらいのある渡瀬恒彦と緑魔子（范文雀の訂正）。いつも美味しいところにだけ登場する丹波哲郎がほぼ全編に登場する珍しさ。ドタバタでもありハードボイルドタッチでもあるちょっと変わった作風。まあ何てことはなかったがラストの殴り込みシーンの渡瀬恒彦の暴れっぷりのかっこよさにやられた。哀愁もあって好きだったな。
あと、友情出演の1人、梅宮辰夫がプライベートを曝け出すかのように女達を侍らせて酒を飲んでるシーンが笑えた。

• #東映モノ

モップス演奏シーン好きすぎる。ヤクザ映画とサイケの親和性はほぼゼロに近いということがわかった。でもここではその異物感がなかなかいい味を出す。お揃いの親衛隊員バッヂなどとにかく全てがダサいのだが、渡瀬恒彦のコンディションはかなりいいので范文雀とのパートは浮きつつも良かった。いつもの辰兄出てくるのが嬉しい。バーのホステスたちに囲まれ、日常ルーティンの一環ですみたいな感じで「はい、おみや。」ってプレゼント配るのいいな。