みちろう

深夜の告白のみちろうのレビュー・感想・評価

深夜の告白(1944年製作の映画)
4.2
人妻のフィリスと恋に落ちた保険会社のセールスマン・ネフが共に夫の殺害を計画するクライムドラマでもありロマンスでもある。つまりフィルムノワールってやつ…!

物語は罪を告白するネフが事件の一部始終をナレーション付きで回想していく手法で進む。この前観た「逢引き」って映画でも使われてたこの手法、物語も登場人物の心情もわかりやすくてすげーありがたい。

初めは真面目だったネフが愛の誘惑に負けて完全犯罪に手を染めていく中での計画を練っていく時のワクワク感、秘密のミーティングや列車の場面などでハラハラして惹きつけられる所は古いけどちゃんと面白い犯罪ドラマ。計画自体は見るからに絶対バレるペラペラなやつだなと見ながら思ってたけど。

ロマンスの部分はサラッとした印象を受けたものの、次第に人物像が明らかになることでフィリスに対するイメージが変わったりいつの間にか彼女と同等に落ちぶれてしまったネフなど愛や欲望によって狂わされていく人間の様を描いてて面白かった。

キレッキレというよりもはや全部知ってるんじゃないかって推理を決めてくるキーズの現実離れしたキャラ設定もツッコミ所ではあるけどシリアスさとフィクションのバランスを保つ良い要素でもあったなと。

今見てもシンプルかつ奥深い、観やすくて面白い。今日作られてるサスペンス映画の原点を見た気持ちになった。
みちろう

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