おかだ

深夜の告白のおかだのネタバレレビュー・内容・結末

深夜の告白(1944年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ユビキタスとしてのビリーワイルダー


今週はビリーワイルダーの作品を続けて観ていきたいと思います。
理由は、中々見つからなかったのにはまりんロードTSUTAYAにいっぱい置いてあったから。

ところで、ビリーワイルダーって誰やねん。
1940〜1950年代くらいにかけて活躍した映画監督さんなんですが、その特徴は何といっても凝った脚本。
元が脚本家畑なこともあって、とにかくおもろい話を書きます。
1番有名なのはおそらくアカデミー作品賞を取った「アパートの鍵貸します」もしくは「サンセット大通り」。
1番ピンとくるところは多分、マリリンモンローがスカートを押さえるやつ。「7年目の浮気」。

また、当時のハリウッド映画界をふん縛っていたヘイズコードにうんしょうんしょと反抗していたオジサンとしても有名で、当時は禁忌とされた女装コメディを嬉々としてやっちゃうなど、なりすましとか変装といった要素をよく取り入れはるのも特徴か。
そんなこんなでいわゆる黄金期ハリウッドを代表する作家であり、今なお様々な作品に影響を与え続けている。
そういえば近年やと、三谷幸喜がすごいリスペクトを公言してはるね。

そんな古今東西あらゆる映画に影を落とす、カゲマンみたいな彼のことを最後に一言で表すならば、そうだな、ユビキタス。ユビキタス人間。

総括すると、ビリーワイルダーとはとりもなおさず、ユビキタスであるというところでご理解よろしいか。


前置きが長い上に不時着してしまっているけれど、真っ暗な自宅でTWICEのLIVE映像を垂れ流しながら黙々とFilmarksに書き込んでいる変なシチュエーション下であるとご理解いただき、ご容赦願いたい。


てなわけで、早速レビューへ。早速とは何か。

物語は、とある保険家の男の独白からはじまる。
彼は肩を銃で撃たれて息も絶え絶えになりながら自らの犯した罪をテープに告白し始める。

てな感じで、今作実はミステリージャンルにおける変則型の中でも花形といえる、倒叙式ミステリーの元祖的な位置付け。
いわゆるフーダニットが明確になっていて、ヒッチコックの「ダイヤルMを回せ!」とか古畑任三郎シリーズの先駆けという感じですな。個人的に大好きです、倒叙式。
そういえば古畑任三郎の脚本は三谷幸喜やったかな。

しかも、現代ではすっかりお馴染み、不倫×保険金擬装殺人の元祖でもある、エポックメイキングも甚だしいエポエポノワール。


今なおフィルムノワールの代表的名作としても名高い今作におけるファムファタール役には、「教授と美女」に引き続いてバーバラスタンウィック。
相変わらずキュートで、今作でも妖しい魅力を放っておりました。
またさすがに画質は粗いが、モノクロの中でも濃淡のハッキリとしたノワール調の映像と、ファムファタールとしてのバーバラの魅力。
そして何より今作がここまで語り継がれる傑作たりえたのはビリーワイルダーが手掛けている脚本の完成度の高さ。

恐れ入りましたな。
ただ、列車事故倍額補償特典の保険加入後の列車事故死はさすがに厳しい気もしなくはないが。。
おかだ

おかだ