ノットステア

自来也/忍術三妖伝のノットステアのレビュー・感想・評価

自来也/忍術三妖伝(1937年製作の映画)
4.0
○感想
面白かったです。
特別な力を持った二人が、特別な力は持たない悪に復讐する話。
こういう書き方をすると面白くなさそうだ笑。まぁ敵の一人が妖術使えるけれど。ヒヤヒヤは全くしなかった。

大げさなセリフ。それがなぜか心地良い。時代劇だから?白黒だから?

自来也は相手より高いところに移動することが多い。物理的にも"上"である。チャップリンの『独裁者』には、相手より上の位置に移動しようとして失敗するところがあったけど、忍術/妖術が使えれば簡単だわ。

古い日本の白黒映画だからセリフは聞きづらかったり、ところどころ音声が途切れていたりするけれど、大して困らなかった。
忍術と妖術の違いは分からなかった。同じものなのかな。
自来也は蝦蟇を使う。綱手は蛞蝓を使わないし、大蛇丸も蛇を使わない。
逆再生を使った撮影あり。チャップリンも逆再生使ってたな、そういえば。


○アマプラ紹介文
家臣らの裏切りで滅ぼされた地頭の遺児・太郎丸が、仙人に育てられ、ガマを操る忍術使いの自来也として成長、同じ境遇の網手姫と力を合わせ、妖術使いの敵・大蛇丸と父の仇の佐久間正盛を討つ(当初『自来也』として公開、戦後に改題)。

以下、ネタバレ










○あらすじ
佐久間正盛に両親を殺される。佐久間正盛は年端も行かぬ者を殺しはしない。
しかし、「命は助かると思うでないぞ。」
「叫ぶのじゃ。声限り地の底で助けを呼ぶのじゃ。」
「父を返せ!母上を返せ!」
穴に突き落とされる。
「泣け!叫べ!吠えろ!」
一同笑う。

仙人が助ける。
月日が経つ。
仙人が仇たちの今の身分を話す。
仙人「自ら来たるなり(也)」
太郎丸「自ら来たるなり」
仙人「はよ行け!」
太郎丸「ははぁ。」

仇一人目。
寝込み。目を開けると「自来也」という文字。起きると蛙が二匹。蛙を掴もうとすると消える。背後に自来也。
一子たろうまる、今宵この館に。
斬りかかるも消える。
自来也「恐ろしくば泣け。叫べ。吠えろ!」
笑う自来也。

仇二人目。
仇一人目の使者のふりをする。
自来也は名乗り、忍術で出した掛軸には「自来也」という文字も。
復讐しようとするも、畳の下の隠し扉で逃げてしまう。
仇2は佐久間正盛の元へ。「神無月十日寅の上刻」という予告(綱手姫の部下の仕業)。

自来也を捕まえれば莫大の恩賞という高札。

綱手姫。自来也と同じく復讐しようとしている。
綱手姫が前を歩く自来也に声をかける。
綱手「旅は道連れとか申します。お望みなら京まで。」
自来也「聞こえますか?」
綱手「え?」
自来也「鳥がさえずっておりますな。」
綱手「ええ」
自来也「あなたのおしゃべりより、小鳥のさえずりのほうが小うるさくなくって結構です。先へ行かれたらよろしかろ?」
綱手「無礼者!」

佐久間の家臣「お前、どこへ行く?どこから来た?返事をせんか!」
綱手「聞こえますか?」
家臣「なに?」
綱手「鳥がさえずっております。あなたのおしゃべりより、小鳥のさえずりのほうが小うるさくないのがなによりです。失礼。」
家臣「こら!」綱手に襲いかかる。
自来也がそこへ。
綱手「手を引いてください。構われたくないのよ」
自来也が敵全員を転がす。
そのうちに二人は屋根の上へ。
綱手「なぜ手出しをなされました?誰が助けてくだされと申しました?勝手な真似をなされますな!」と言って綱手は自来也を3発ビンタする。自来也は綱手を1発ビンタ。
消える自来也。後を追って消える綱手。

水面歩行の行。自来也と綱手はお互いにお前(あなた)が悪いと言い合う。追手は水の中に体が浸かっており、追いつけない。

綱手「このケリをどうおつけなさります?」
自来也「では、かくの通り」と言い、ビンタ2発。
自来也「あなたが3つ、拙者が3つ。依存はござるまい」

自来也「宿を頼む。」
宿主「話し次第では、貸しても良い」
綱手「宿を頼む。」小判を2枚放る。
宿主「おい、ご案内申し上げろ」

自来也と綱手は同じ部屋に。
外には様子を伺い、妖術で消える男(大蛇丸)。
綱手「座を外していただきます。出て行ってください。」
自来也「なぜ?ではこうすれば。」忍術で几帳を出す。
自来也「これで一存がござるまい。なんならばあなたが出ていかれたらよろしかろう。」
忍び寄ろうとする大蛇丸。自来也が来ると消える。

高札に「自来也」と書かれた紙が貼られている。自来也の仕業。

「神無月十日寅の上刻。お命頂戴に参上」と守護職に舞い触れたために、「洛中一円は水も漏らさぬ配備、城内は蟻の入り込む隙もない。馬鹿なものをしたものです。」と自来也は綱手に言う。

自来也は敵の下っ端どもを斬りつける。

佐久間正盛。九日。手配は十分。厳重に固めている。

綱手「今宵、ここを発とうと存じます。」
自来也「それで?」
綱手「それで」
自来也「わざわざ拙者に断りにも及びますまい。」
建物の中からこっそりと二人の様子を見ている大蛇丸。寝転がる。

鼠が走る。あやしく思った綱手が追いかける。綱手は気づかなかったが、逃げるように走る大蛇丸。

綱手のもとに大蛇丸が現れる。
綱手「何をしにおいでなされました?」
大蛇丸「そんなかたい言葉遣いはいいかげんにしたらどうだ。俺の目は節穴じゃあねぇぜ?おめぇは男ならぬ男だというこたぁ、とうの昔から知っているのだ。世を忍ぶ姿といい、女ながらあっぱれなジツといい、いずれ、只者じゃあねぇだろ。まぁしかし、そんなことはおいらにはどうでもいいのだ。おい、おれの女房になれ!」と綱手の腕を掴む。綱手は振り払う。
大蛇丸「魚心あれば水心だ。これでなかなか力になる男だぜ?」綱手は大蛇丸をビンタする。
綱手に近づく大蛇丸。すると、大蛇丸の頭の上に編笠が現れる。見えない何かに首を締められている。大蛇丸が投げた編笠が中空に止まる。そこに自来也が現れる。
大蛇丸「いったいどうする気だ?争ってみても始まるめぇぜ?損をするのは自来也とかいうお尋ね者のほうだ。仲良くしよう。この女をおれに譲って」
自来也「出ろ。」
大蛇丸「なんだと?」
自来也「出ろ!」
大蛇丸「うん。斬ろうというのか。それもよかろう。」

自来也vs大蛇丸
お互いに消えたり、出てきたり。
(お互いに姿を隠して斬り合う。映像では二人の姿が交互に現れる。)
自来也チョップ。おでこを押さえた大蛇丸は逃走。

大蛇丸は佐久間正盛のもとへ。

自来也「別れも近うござる。名乗られては?」
綱手「ええ。佐久間のため、討滅されました近江一夜城の城主、浅尾景政の娘、綱手」
自来也「さようか。某は信州呉船の地頭、更科てるたかの一子、太郎丸。異名を自来也。寅の上刻までには間もござる。お逃げなされ。」
綱手「え?貴方様は?」
自来也「残る。」
綱手「え?」
自来也「城内は厳しい警護。それは良いとして大蛇丸がいては忍の術も無駄でござろう。お尋ね者の拙者が捕われて、敵に油断させぬ限り。」
綱手「では。」
自来也「父母の仇。我が手にて打ちたき正盛なれとも、お譲り申す。」
泣く綱手。
自来也「何を泣かれる?大事な大事な片時に。なぜ泣かれる。不吉な。たとえ、捕らえられても打たろうとは限らん。泣かれるなつらねども。泣かれなというのに。しばしの別れ。また会う日までの仮の印。」

自来也は捕まる。屋根の上から見守る綱手。

自来也は牢の中。
寅の上刻が近づく。

城内はお祝い。舞いを舞う女たち。
大蛇丸が声をあげる。「えい!」
天井にぶら下がる綱手が現れる。騒ぐ女たち。自来也が女たちの悲鳴を聞く。自来也は姿を消す。
慌てる家臣たち。牢の小屋が崩れる。家臣たちは小屋の中には引っ張られる。小屋が再び建ち、家臣たちは閉じ込められる(逆再生)。

綱手vs大蛇丸+家臣たち
巨大な蝦蟇が現れる。綱手は蝦蟇の上に回転しながら飛び乗る(逆再生)。刀を投げ、大蛇丸に突き刺さる。

佐久間正盛と側近は二人で走り回る。その目の前に、蝦蟇に乗った自来也とその稜に立つ綱手。いつの間にか自来也の後ろ髪が長く伸びている。
短めに名乗る綱手。ゆっくりと長く名乗る自来也。「見よ!見よ!見よ!」
寅の上刻。

自来也+綱手vs佐久間正盛+側近
蝦蟇の口に吸い込まれていく家臣たち(逆再生)。
側近は綱手に斬られる。
歪む画面。
自来也+綱手vs佐久間正盛(忍術も使えない佐久間正盛が二人を相手にねばる。)
とどめは綱手。
自来也「泣け!喚け!叫べ!吠えろぉぉ!!ふふひゃひゃははははっ」