タラコフスキー

自来也/忍術三妖伝のタラコフスキーのレビュー・感想・評価

自来也/忍術三妖伝(1937年製作の映画)
4.0
傑作。冒頭の馬を走らせる野武士や自来也の移動撮影が悉く良い。霧の効果も相まって、馬のショットはどれも途方もなく美しい。
炎上する城内での殺陣では、戦っている武士たちの手前、カメラの目の前に火がリズムよく吹くところも最高なのだが、これは最後の仇討ちでの殺陣で大量の煙として変奏される。
山から雲を見下ろすショットから、下界に降りて雲を見上げるショットへの移行も美しい。
川の上を歩く千恵蔵と星玲子と、それに続こうとする追手たちが水に浸かりながらも進もうとするのを捉えたロングショットも素晴らしかった。
画面上辺の中央から扇を描くようにスワイプしていくのも面白い。
千恵蔵と星玲子の掛け合いも面白く、ジェリコの壁も登場する。
星玲子、大した美人ではないのだが、壁や襖にもたれかかる身振りが千恵蔵への言葉にならない想いを代弁しているようで素晴らしい。
最後、復讐を果たした千恵蔵の高笑いはチャン・チェ『ブラッド・ブラザー』のラストを思い出させた。
タラコフスキー

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