Mariko

シャネル&ストラヴィンスキーのMarikoのレビュー・感想・評価

3.8
冒頭で10分強、あの『春の祭典』初演時のカオスを映像化してくれただけでもかなり満足。そもそもこんなに好きで演奏は山ほど聴いてきたのにハルサイのバレエは観たことがないのだった。

映画としては、ストラヴィンスキーの数ある不倫(汗)の中のひとつ?なのかどうか…なガブリエル・シャネルとの関係を描いたもの。
不倫男のアンビバレンツという許し難い所業に説得力を持たせてくれちゃうのはマッツ・ミケルセンの面目躍如、ヌードも見どころ笑。
冒頭以外にもハルサイのファゴット〜ホルンのあの旋律は度々登場し、これが不穏な雰囲気に当然ながらこの上なくマッチしちゃう。また、『火の鳥』ほどではないとはいえ度重なる改訂が施されただけあって、ピアノに向かいながらスコアに加筆する様子が窺われるのも良い。ピアノ曲『5本の指で』で二人に連弾させるのはうまい使いどころ。
シャネルの方は、黒と白のコントラスト、そのバランスが心情の変化で着る服に表れるあたりがよかった。また、その鮮やかな色がない部屋に、赤を基調としたロシア風の布をタペストリーとしてかけるストラヴィンスキーの妻との対比も素晴らしい。

全編美しいし色々興味深かったけれど、そんなにおもしろくはなかったかも。
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