よふかし

告発のよふかしのネタバレレビュー・内容・結末

告発(1995年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ケヴィン・ベーコンの演技力が凄まじい。若いうちに刑務所に入り、執拗な虐待に追いつめられてコミュニケーションに障害がある男にしか見えない。途中で女弁護士に代わった時に、激キショセクハラ発言するのとかホンマ接し方を間違えちゃった人すぎて😢ふとした瞬間の静かな表情が年齢よりずっと大人びて見えて良かった。
実話がもとになっているのがエグいな。犯罪者への人権は正直懐疑的(獄中生活が罰として働かなければ犯罪の抑止力にはならないのでは?)なんやけど、でも、ケヴィン・ベーコン演じるヘンリーはたった5ドルの万引きで過酷なアルカトラズ刑務所に入れられて、脱獄しようとした見せしめのために虐待を受けたわけだから、同情の余地がある。生活のために犯罪を犯してしまったとしても、ヘンリーは普通に生きられたはずだった。

ジェームズ・スタンフィル弁護士は、ちょっと正義漢すぎるなって印象だった。かなり序盤からヘンリーを信じてて、正しくないことを許せない。育ての兄に止められてもやめないバイタリティすごい。ヘンリーのために女を用意してあげたりね。正直友だちになっちゃうのは弁護士としてはあんまり良くなくね?って思っちゃったけど、ヘンリーにとってはそれが最も嬉しいことだった。だから最後、死刑を撤回させることが出来たんだな。
大事を成すのは、いつも熱意のある人。ストーリー的には暗すぎるというか、あんまり起伏がなくて面白みに欠けたけど、教養としては面白かった。funじゃなくてinteresting😏

「勝利とはいい結末のこと。欲しがるよりも与えた唯一の男、欲したのは友だけ。彼はいつまでも僕の親友だ。意味のある死だった。勝利のうちに死んだ」
スタンフィル弁護士のモノローグ、はじめはピンと来なかったけど、その後のヘンリーが副所長へ言った台詞で腑に落ちた。
「行動、俺の勝ち。反応、あんたはそれを奪えない」
人間から抵抗する力を奪うのが虐待なら、行動を起こすだけでヘンリーの勝ちだし、どんなに恐怖で支配しようと反応それ自体は誰にも奪うことができないもの。人間讃歌の魂を感じた。
だからこそ、ヘンリーの虐待死(多分)は正義を全うすることの難しさ、社会のままならなさを端的に表してる。ただ、その後副所長が捕まってアルカトラズが閉鎖されたことによって〝無駄じゃなくなった〟んだよね。あんたの死を無駄にはしないってやつ。
「僕は弁護士を続け、野球好きになった」ヘンリーとの変わらぬ友情を感じさせる良い終わり方だった。
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