Jeffrey

告発のJeffreyのレビュー・感想・評価

告発(1995年製作の映画)
3.0
‪「告発」‬
‪冒頭、1930年代後半。アルカトラズ刑務所。暗闇の独房。裸で横たわる囚人。動物以下の仕打、環境、拘束されて暴力、110名の看守、若きエリート弁護士…本作はM.ロッコがK.ベーコン、C.スレーター、G.オールドマンを主演に島にあるアルカトラズ連邦刑務所での悲惨な実態を抉り出す作品で再鑑賞した。言わば悪名高い刑務所を1人の囚人と若き弁護士により閉鎖へ追い込んだ実話を映像化したものなのだが、映画の中での話でさえ、惨たらしいのに恐怖を感じるのに実話で遥か彼方でこんな出来事が起きていたと考えながら観ると…なんとも胸が。本作の面白みの一つに弁護士と囚人が共に手を取り合って腐敗した刑務所と自分を3年間もの間、独房に閉じ込めた副刑務所長に挑戦するかの様に作品は展開するが、実はそれは米国の司法制度への宣戦布告、そう合衆国政府への挑戦とみえる点だ。それと将来明るい弁護士と将来暗い2人の対比も中々凄く、それでも絆を強め打倒する姿には感動する。時代も戦争中の時期で国内でもこの様な非人道的なスケールが隠されていた。物語は刑務所で起きた殺人事件を初仕事にする弁護士が25年の刑に服役中の若い囚人が虐待から逃れるべく脱獄を計画したが、仲間に裏切られ食事の席で咄嗟に彼を食器で刺殺す…そこから2人の断固たる正義の為に巨大組織に挑む。にしても‬ ‪45年の第‬ ‪2次世界大戦が終わり、その後安定に見えた50年代のアメリカは朝鮮戦争が始まり、60年代にはベトナム戦争と同時にキング牧師やR.パークスの出現により、より激動の時代に変わる。そんな中、片隅ではアルカトラズ島の野蛮な事柄を解決するべく懸命に努力した男達がいた。そう考えると米国って終わり無き‬ ‪課題が山積みだなと感じる。本作のヘンリーヤング裁判が与える時代の流れは告発によって変わる…今思えば90年代はベーコンもスレーターも頭角を現し様々な役柄を演じてきた。今ではB級や連ドラがメインになりつつあって寂しいのだが、この90と言う数字の時代は私にとっては青春で多くの90年代の作品で‬ ‪様々な知識を得た。本作で全裸になり、痩せ細り迫真の芝居を見せたベーコンは凄かった。特殊メイクもあってかあの傷だらけの顔と怯え、はっきり答えられない精神的痛手が醸し出す雰囲気と俳優根性に拍手したい気持ちだ。今となってはオスカー俳優のオールドマンの芝居も控えめだが怖さは十分に伝わる…‬ ‪鏡を素手で割るシーンやあの冷徹な表情…今日ではサンフランシスコの観光地の一つになった刑務所も目玉になってるが人権を重視しないその暗闇の厭世的な空間に足を踏み入れた観光客は一体何を感じるのか…。時間があれば個人で行ってみたいもんだ。壮麗で力強い全く異なる待遇の男の絆を是非見てくれ!‬
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