あるぱか

FAKEのあるぱかのレビュー・感想・評価

FAKE(2016年製作の映画)
3.5
落とし方が秀逸。
単純なので(と言うかそこまで集中してないということもあり)まんま森さんのディレクションに持って行かれていた。
他の面々の取材拒否もいい意味で佐村河内さんを上げる要素になっていたと思う。
メディア論で言うとメディアリテラシー云々の前に、二律背反と言うか、分かりやすいものを求められる日本社会の構造もある。一方、ドキュメンタリーだって撮影者の主観も入れば、撮られる側が(自分が撮られると想像したとき)どんに理想を掲げたって「カメラの前の自分」つまり全くの素の自分であることなんてあり得ないのに、それが素、真実と藁にも縋るように受け止めてしまう日本人の滑稽さを映し出していたように思う。そういう社会で生きてきたからこそ、それを拭うのはそう簡単なことでもないと思うし。
批判ばかりの世の中より、一人ひとりが考える必要があるっていうのを最後の見せ方で考えさせられた。
それにしても、海外の記者のエビデンスに基づく考え方は論理的で明快だった。感情論じゃない。
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