のーのー

FAKEののーのーのレビュー・感想・評価

FAKE(2016年製作の映画)
-
騒動の時は中学生だった。学校を休んだ日か何かで、会見をリアルタイムで見た気がする。当時あのイジメじみた会見を見て笑ったり、単純な義憤に少なからず駆られた浅はかな子供だった自分としては、見ておかないといけないと思った。
2023年になっても、当時の自分より遥かにいい年の大人達が「この人は無条件で馬鹿にしていい、攻撃していい」と印をつけられた人に非人間的な扱いをするのをためらわないのに、強い恐怖を覚える。この映画の存在が、そんなゼロかイチかの分かりやすい処理を良しとする人の心に少しでも揺らぎをもたらしてくれるといい。

佐村河内氏がとにかく魅力的だ。事件や障害と直接関係なく、ヘンな人だということがよくわかる。フィクションだと「演技が自然じゃない」とか言えるけど、感情表現が強めでなんとなくウソくさく見られてしまう人、現実にいるんだよな。

明るさと暗さ、光源と影が期せずして演出的な効果を上げていて、舞台演劇的だとも思った。特に、明るい台所から暗い食卓へ移動するケーキという反復が最後の最後まで効いていた。あのテレビ局の4人はケーキを食べたのか?
想田和弘の『Peace』ばりに良い味を出してる猫も最高だった。猫って音楽聞こえるんだろうか。
のーのー

のーのー