老人XY

FAKEの老人XYのレビュー・感想・評価

FAKE(2016年製作の映画)
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僕は中学生くらいまで外国の存在を信じていなかった。知識としては当然知っていた。それでも、海の外の途方もなく広い世界の存在を疑っていた。アホである。

わからないことを理解する為には、考え続ける事・問い続ける事・実際に触れてみる事が理想的な姿勢だと思う。でも結局のところ見たいものだけを見て、信じたいものだけを信じているのが現状。
(絆という言葉は大嫌いだけど)佐村河内さんと奥さんのつながりは本物だと信じたい。綺麗なものを信じたい。あるのかないのかわからないからこそ、愛のような何かを信じたい。疑いながらその上でなお信じたい気持ちをなくしたくない。

作品の中で語られる数々の出来事や思いのどれが真実でどれが嘘なのかはわからない。はっきりこれは事実だと言いきれるとしたら「僕はこの映画を観て面白いと感じた」それだけだ。
あ、あと、あのネコのお腹をモフモフさせてほしい欲求に駆られたのも間違いない…。そんでもってマッツ・ミケルセンの「偽りなき者」を観たくなった。


追記:アウトレイジの世界だったらラストで森監督は北野武に撃ち殺されてる

追記:タマフルリスナーにはお馴染み三角絞めさんのFAKEについてのブログ記事を読んだ後だと、こんなフワッとした着地の感想だけを抱いて映画体験を終えるのは惜しいし浅いよなぁと思わざるを得ない

追記:2014年の日本にホントに住んでたのか?ってレベルで佐村河内さんを(なんなら小保方さんも野々村元議員についても)知らない。ネットでネタにされていた部分のみで、なぜあんなにも話題になっていたのか根本的な事をほとんど知らず、フラットな状態で観賞。で、関係者達の今作に対する様々な感想をはじめ、周辺情報を軽く調べただけで、感想がガラッと変わった。なんも知らなかったらそりゃあ中二病の僕としてはメディアに散々叩かれてた佐村河内氏に若干の同情を寄せてしまう。こんな一面もあるんだよ、と。しかし、そこで終わらせてしまってはダメだったのだ。それは隠された真実を暴き、正義を主張する為ではない。調べた方が何倍も「面白い」からである。この映画を観た人の99%は同じ穴のムジナだ。僕と同じゲス野郎だ。のぞき魔だし、スケベ太郎だ。善人だったら今作を観ること自体、拒否するかもしれない。奥さんがマインドコントロールされてるんじゃないか疑惑を知って、フリードキンのBUGを観たくなった

追記:全部信じています、という言葉を聞いて「『信じる』とは意識的・能動的にできることではない。本当に信じているレベルっていうのは、その人には絶対に認識できない」という話を思い出した。
ウシジマくんは言っていた「本当に信用できる奴は自分から信じてくれなんて言わねーよ」
ならば逆に、本当に信用しているのならば、自分から信じていますとは言わない、のだろうか

追記:ラスト12分で描かれる、アレ。観てる最中は「おぉ!なかなか良いじゃん!」と思ったものの、2日経った今どんな感じだったか全然思い出せない。自分の記憶力の問題かもしれないし、翌日にPTAのザ・マスターを観たせいかもしれない

追記:見たいものを見てる、と言ったけど、他のレビュアーさんが「それすら監督が見せているものの中でしかない」と書いていてやるせなくなった。まるで実験室にいるサルやで…
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