1930年にダンスで人気を博したジンジャー・ロジャースとフレッド・アステア。
その二人のそっくりさんとしてテレビで活躍していたが今や老境となったジュリエッタ・マシーナとマルチェロ・マストロヤンニ。
二人はおよそ30年ぶりにテレビ番組に出ることになるのだが、マストロヤンニはすでに足元もおぼつかなくなっており・・・
素晴らしいノスタルジック作品であると同時に、老いという人間の避けられない残酷さも描いている。
凝った照明効果やサーカス趣味など、フェリーニテイストを存分に堪能することができるが、何よりも素晴らしいのはジュリエッタ・マシーナの演技。
時に寂しく、時には怒り、またあるシーンでは天使のような表情を見せる。
マストロヤンニの後ろ姿では、頭髪が薄くなっている。
あの二枚目のマストロヤンニがだ。
それはジュリエッタ・マシーナの目元のしわにも表れる。
時の流れの残酷さを優しい目で見つめるフェリーニ。
停電のなか、久しぶりに愛をささやきあう二人。
この停電を利用して会場からぬけだそう。
照明が回復し、踊り始める二人。
マストロヤンニは必死の形相だ。
マシーナがその都度フォローを入れる。
結局、30年前のあのころには戻ることはできず、
マストロヤンニはマシーナに金を借りて二人は別れる。
究極の恋愛ドラマでもあるんですよね。
ただ、テレビ批判をこれでもかと詰め込んでいるあたり、
ただのノスタルジィ映画ではない。
フェリーニの名前にビビることなく、ぜひご鑑賞をおススメします!