Papaya

東京流れ者のPapayaのレビュー・感想・評価

東京流れ者(1966年製作の映画)
3.6
早稲田松竹にて。仁義と親殺し。しがらみとは武士の世界、そして成り行きとは資本主義、合理主義の世界。しがらみと仁義に生きていると、いつかは親殺しをせざるを得なくなってしまう。東京が生む流れ者というのは、前時代的価値観と合理主義の狭間でアイデンティティを失った存在で、渡哲也が最後に言い放つ「女とは歩けねぇんだよ!」は、どちらの価値観も突っぱねてそれでもなお生きていこうとする日本人の姿に見えた。それにしても、1966年の作品で、「もうやくざにも仁義なんてない時代だ」と言っているのに、北野武のアウトレイジでも同じことを言っていたことになお共感を覚えるのは何故なんだろう。50年やそこらじゃ、日本人の腹の奥底にあるものは変わっていないということなのだろうか。
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