イチロヲ

狂った野獣のイチロヲのレビュー・感想・評価

狂った野獣(1976年製作の映画)
5.0
盗んだ宝石をバッグに忍ばせながら行動する男(渡瀬恒彦)が、逃走中の銀行強盗犯によるバスジャックに遭遇してしまう。「暴走パニック 大激突」(深作欣二監督)のテンションを継承している、ピラニア軍団謹製のアクション映画。

本編内では、10名以上の乗客を乗せたバスが、常時走りっぱなしの状態。乗客側にも様々な思惑があり、悲喜に満ちた日常を抱えている。気丈を振る舞うバスジャック犯(片桐竜次&川谷拓三)が、有象無象の乗客を応対するうちに、被害者側の心境に陥っていく。

本作の渡瀬恒彦は、事故を起こしたテストドライバーという立場。イップスに陥っている状態で、バスの運転を強いられる。相棒のバイク乗り(星野じゅん)があまり活躍してくれないが、女ピラニアこと橘麻紀の出演が嬉しい。

京都の一般公道を使用した大掛かりな撮影と、警察組織による喜劇性に富んだ追跡劇が、魅力満点に描かれている。海外におけるカー・アクション映画の隆盛が背景にあるのだが、本作は模倣を超えた模倣と言っても過言ではない。
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