シンタロー

夜叉ケ池のシンタローのレビュー・感想・評価

夜叉ケ池(1979年製作の映画)
3.5
鬼才・篠田正浩監督によるカルト超大作。ある目的で日照り続きの村にやってきた学者の山澤。竜神が封じ込められているという伝説の"夜叉ヶ池"のほとりで、百合という美しい女性と出会う。彼女は夫と共に、日に3度鐘をつく鐘楼守をしていた。その夫とは、3年前"夜叉ヶ池"の調査に出たまま失踪した、親友の萩原である事を知り、山澤は愕然とする…。
これは…まだガキだった頃の初見のままなら3.0以下になるところでした…申し訳ないけど坂東玉三郎の百合&白雪姫にゾワゾワしてしまい…唐突にファンタジーが始まるところでポカーンとなってしまったのでした。
この度久々に再見しましたけど、歌舞伎の世界に詳しい人なら、玉三郎の一人二役に大興奮だったのかな。自分にはどうしても、誰しもが魅了される絶世の美女には見えません…身のこなし、流し目、台詞回しなんかは、味わい深いということになるのかな。それでも当時男盛りな、加藤剛と山崎努のイイ男ぶりが拝める前半はそれだけで眼福。"夜叉ヶ池"のアンダーワールドが描かれる中盤。ポカーンとはならなかったけど、絶賛されている程は、やはり入り込めなかったです。せっかく映像は美しいのに、なぜか気持ち悪い…グロは嫌いじゃないけど、これは違うって思ってしまった。クライマックスは40年以上前とは思えない迫力。そこだけでも十分見る価値ありだと思いました。
散々言ってしまった坂東玉三郎ですが、この役を引き受けたことは称賛に値すると思います。周囲からの反発もあったでしょうし、賛否両論受け入れる覚悟かと思うと、勇気のいることです。生贄にされる場面が1番美しくて、女らしく映りました。加藤剛は、酷いカツラと舞台じみた台詞回しは気になりましたけど、やはりカッコいいですね。和装が本当に画になる人です。山崎努は、加藤に向ける友情の芝居が熱くて、なかなか良かったです。髭と日焼けもよく似合っていて、スタイルの良さも感じました。
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