ばーとん

バルカン超特急のばーとんのレビュー・感想・評価

バルカン超特急(1938年製作の映画)
4.0
序盤はグランドホテル形式のコメディ全振り、汽車に乗り込んでから人間蒸発サスペンスへの急展開、そして終盤はバンドリカ軍vs7人の英国人というスパイ映画のフリした、ナショナリズムをくすぐる戦争映画。一本で三度美味しいヒッチコックの名作。さらに列車系アクションも楽しめる優れもの。クリケットのことしか頭にないホモセクシャル風コンビがいい味だしてる。彼らのデットパン風味の芝居が映画の洒脱さを際立てる。ラスト、マーガレット・ロックウッドとマイケル・レッドグレイヴのあまりに酷い裏切りのロマンスは、往年サスペンスあるある。イタリア人のマジシャンが子供に消失マジックを見せると、カメラがフロイの顔にパンして彼女が消えることを予感させる、こういう細かい演出が巧いんだ。
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