【俺は手を汚す】
スコセッシの『レイジング・ブル』と比較されることが多いボブ・フォッシー監督作品。現在、あまり語られることがない不遇な作品で男女の愛と汚辱にまみれたシリアスドラマと言える。
主演のダスティン・ホフマンが一世一代の汚れ役を演じておりとことん退廃的で暗い作品。ブルース・サーティースによるロー・キーを駆使したモノクロ画面が秀逸。
個人的にフォッシーの抑揚のない演劇調の作劇が肌に合わず、スコセッシの方が遥かに上手に感じる。演出がキッチリしてて型にハマり過ぎているからか? 相当堅苦しい。冒頭のヴァレリー・ペリンによる卑猥なストリップの場面しか印象に残らない。
昔ビデオで観たのだが、あまり再見する気がしない微妙な出来であることは確か。