唯

レニー・ブルースの唯のレビュー・感想・評価

レニー・ブルース(1974年製作の映画)
3.3
「抹殺するんですか?誰も抹殺はできない。道化が必要だ。黙らせるな。常人にひずみを気づかせるために。弾圧が強いほど必要なんだ。頼む、言葉を取り上げるな。僕は誰も傷つけていない」
コメディや風刺が存在するのは、社会に訴えたいメッセージが存在するからであり、しかし清らかに伝えようとしても誰も耳を傾けてくれないからである。
必死になればなる程、彼は自らを追い込んで行く。
社会を前進させるためには、必ず誰かの犠牲を伴うもので、リスクを恐れずに信念を貫こうとする者だけが影響をもたらすことが出来る。
そして、そうした人間とはもれなく生きづらさを抱えているものなのである(だから訴えたいことがある)。
高潔に振る舞っている者ほど偽善と欺瞞に満ちているのではなかろうか。

俯瞰での長回しやサイレントの場面など、フォッシーらしさを随所に感じた。
唯