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レニー・ブルースの一人旅のレビュー・感想・評価

レニー・ブルース(1974年製作の映画)
4.0
ボブ・フォッシー監督作。

アメリカの名振付師で『キャバレー』(1972)や『オール・ザット・ジャズ』(1979)等、映画史に残るミュージカル映画を演出した鬼才ボブ・フォッシーが、実在の米国人コメディアン:レニー・ブルースの半生を紐解いた人間ドラマの力作で、ダスティン・ホフマンが主人公レニーを熱演します。

1950年代から60年代にかけて毒舌のスタンダップコメディアンとしてアメリカで活躍したユダヤ系アメリカ人:レニー・ブルース(1925-1966)の波瀾の半生を、ストリッパーの妻:ハニーとの関係性を軸に映し出した伝記ドラマです。

それまで禁忌とされていた人種差別や同性愛、セックス等を扱った際どいトークで人気を博したレニー・ブルースの光と影を浮かび上がらせた作品で、コメディアンという表現者としての自己を追求し瞬く間に一世を風靡しながらも、彼の過激な芸風を問題視する政府当局による度重なる逮捕によって精神的&経済的に追い詰められていくレニーの成功と転落の半生を事実に基づき明らかにしていきます。

全編を貫くスポットライトの光と客席の影のメリハリの利いたモノクロームの映像美のもと、稀代の芸人レニー・ブルースの矜持と反骨精神に満ちた生き様を描き切った伝記ドラマの力作で、主演の名優:ダスティン・ホフマンが魅せる一人喋りは圧巻です。
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