Punisher田中

仁義なき戦い 完結篇のPunisher田中のレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)
4.2
警察と広島ヤクザ幹部の手により、広島ヤクザの幹部クラスが次々と逮捕され数年後。
武田は指定暴力団から政治結社「天政会」に名前を変え、世論からも批判されない形で社会に溶け込んで生き残る方法を執る。
ヤクザ社会では脱暴力が空気感としてあったが、かつての武闘派は快く思ってはいなかった...

堂々完結!
新たな世界を描く第五作。
世論からの言及や警察権力の拡充、ヤクザ社会の分断から新たに創り出されるその時代の新しいヤクザの形を今作で体現しきっていた様に思う。
世代交代も勿論あるが、公権力vsヤクザとかいうチンケで決まった未来しか見えないものではなく、旧体制ヤクザvs新しい生き方を見据えたヤクザという構図が本当に良かった。
どちらにも正しい正義があり、どちらにも譲れない仁義がある。
その上で改めて抗争そのものの残酷さを語ることでこれまでにも表現されていた抗争自体の愚かさをより浮き彫りにした反戦作品になっている。(シリーズ通して反戦作品になっているが、今作が1番その要素を大きくしてるように見えた。)

シリーズを通して描いてきた真っ先に抗争で犠牲になる若者たちの描写も健在で、あくまで1番の犠牲者であり被害者は若者、そんな中で今作で後を継ぐ若者が登場
するのが1番良かったな...
受け継がれる暴力とその火種。
そして、そんな渦中の中でも仁義を尽くそうとしてきた現役のヤクザたちの顛末を見届けて欲しい。
ラストは「やっとかよ」って気持ちもあるんだけども、これで良い。きっとこれが今作の良い所なんだと思う。
硬い様に見えて多様な死に様、多様な生き様を魅せてくれる素晴らしいシリーズだった。