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愛人
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『愛人』に投稿された感想・評価

シネ・ヌーヴォにて鑑賞
市川崑 光と影の仕草


お話はつまんないし、演出も凡庸に感じたのです。で、映画としての評価は高くはないのですが、なんか、個人的には好きな雰囲気ではありました。

三國連太郎が大モテというか、彼がいつの間にか人間関係の中心に、彼の知らぬ間に躍り出てる様は面白かったです。

タイトルからも、シリアスな内容を想像していたのですが、実際には喜劇タッチで、三國連太郎の告白場面だけ別の映画かよっていうスタイルになっていたのは笑えました(←褒めてます)。

岡田茉莉子の美しさと、有馬稲子の可愛らしさ(市川崑と浮気してたんですよね……)、そして、三國連太郎の動物としての人間っぽさが印象に残りました。

悪人が出てこないというのもポイントは高いと思います。あ、あのプロデューサーは悪人だな(笑)。
◎市川崑流ソフィスティケイティッド・コメディ

1953年 86分 モノクロ 東宝 スタンダード
*若干コマ飛びや画面の乱れがある程度

小津安二郎が戦前1937年に発表した『淑女は何を忘れたか』(2024.3.15レビュー)は日本におけるソフィスティケイティッド・コメディの最高傑作だが、本作もそのジャンルに分類して良いのだろうか。

むしろ、市川本人が「新感覚派的な演出をやった」と語る(*8)ように、「逆転つなぎ」(*2)などの映画的な演出を大胆に試みた新時代的なラブコメディと理解すべきかも知れない。

【以下ネタバレ注意⚠️】




冒頭、霧煙る志賀高原のロッジ風ホテルで、テニスに興ずる昌充(尾棹一浩)と麻納(有馬稲子)の兄妹。
上流階級の家族かと思いきや、父親の映画監督井上鉄風(菅井一郎)は、昼食をボーイが勧めるフランス風の何たらムニエルをそのまま注文したが、息子の昌充が下の外食屋から取り寄せた丼物を見て、「そっちの方が良かったかな?」などと後悔する程度の付け焼き刃なハイソぶりが早速笑わせる。

井上一家は、屋外のテーブルで食事しながら、少し遠くに見える、若い娘と少し年上の女性について噂話。
事情通の麻納は、年上の方が、新感覚派の日本舞踊の師匠、神諏訪(越路吹雪)で、若い方は美伃(岡田茉莉子)といって実の娘だという。
そして、昌充は、美伃に思いを寄せているのであった。

このシーンの次は、東京会館での結婚式場に転換。
「井上家、神家結婚式場」の表示に、昌充と美伃との式と思いきや、鉄風と諏訪の熟年結婚式だったというオチ。

砧か蒲田の撮影所に地の利が良い多摩川近くの洋館。
諏訪を妻に迎え、昌充、麻納、美伃の子どもたちと、若い助監督須賀輪(三國連太郎)の4人とプラスαの人物が、四角ならぬ五角関係による恋の駆け引きを演ずるのが、本作のメイン。

昌充は美伃に、美伃と麻納は須賀輪に、思いを寄せ、大モテの須賀輪は事もあろうに諏訪を一方的に慕っていた。

最初は、須賀輪を取られたくない麻納が、美伃にそのことを告げ、兄があなたのことを好きだって知ってた?、と打ち明ける。

麻納のように押しが強くない美伃は、ひとり哀しみを堪え、昌充と結婚すると言い出し、逆に、麻納は良く考えて、美伃が須賀輪と結婚するべきよと、諏訪にも宣言。

諏訪は、美伃か、麻納か、いずれに気があるのか、須賀輪本人に聞き出すことに。
須賀輪は、監督として一本立ちしてない僕は、結婚など考えてませんと拒んでいたが、ひたすら迫る諏訪に、「実は、僕が本当に好きなのは、あなたなんです」と告白してしまう。

そこに、事情をまったく理解していない鉄風が帰って来て、訳の分からないやり取りが重ねられ、諏訪は複雑な思いを胸に秘めたまま、須賀輪に家を出てもらうのが最善策だと主張。

須賀輪の監督昇進の知らせも入り、お前の言ってる理屈は良く分からんと、諏訪を責める鉄風。

頭を抱えていた諏訪もついに須賀輪の告白を打ち明けてしまう。

すぐ動かなくなる時計にイメージをダブらせての、全員のストップモーション。

その裏で、須賀輪は、荷物をまとめて田舎に退散してしまった。
渦中の人物が、突然消えて、かえって茫然自失となる井上一家だった。

案外スラップスティックなモノボケも多く、座ると壊れる椅子とか、踏むと床板が沈み置物の壺が倒れるなどの天丼が繰り返される。

全体としては、まぁまぁ面白いコメディにはなっている。

ただ、正直、三國の告白は唐突過ぎ、真剣味があり過ぎで、コメディタッチを暗くするばかり。
昌充役の尾棹は、高身長かも知れないがデクの坊的な大根。

しかし、21歳の有馬稲子は、あまりにも美しく、若さに満ちあふれている。

実は、これがクセモノで、和田夏十と結婚して5年目、37歳の市川が、この美貌の女優に手をつけ、不倫の背徳に彼女を引きずり込んでいたのである。

このことは、2018年の有馬の手記で明らかにされたが、市川は、和田夏十と別れて結婚すると言いながら、いつまでも不倫関係を続けた上に、妊娠・堕胎までさせていたというのだから、鬼畜の所業だ。
現在存命だったら監督生命が奪われて然るべきことになっていたに違いない。

小津は1957年、『東京暮色』(2024.3.20レビュー)で、有馬稲子に未婚で妊娠したことに悩み、場末の産院で、淫売だと誤解されながら闇中絶して自殺するという悲惨極まりない役を演じさせている。

あるいは、映画界では、有馬と市川との不倫は公然の秘密で、小津もそのことを知って、有馬にこの役を当て書きしたのだろうか。
だったら、それも酷い話だ。

いずれにせよ、有馬稲子には、同情するしかない。

《参考》
*1 愛人(1953)
1953年11月10日公開、86分
moviewalker.jp/mv23677/

*2 映画講座① 逆転つなぎの場面転換-市川崑監督『愛人』(1953 東宝)より
旧作日本映画ロケ地チャンネル 2022.3.9
m.youtube.com/watch?v=wKS8ez-g7xU

*3 J・KOYAMA LAND 番外地 大吟醸
市川崑『愛人』『わたしの凡てを』
2017.3.25
daiginjyo.koyama.mond.jp/?eid=232#gsc.tab=0

*4 デイリー新潮
道ならぬ恋、妊娠… 「有馬稲子」が怨みを綴った有名監督の名
2018年08月14日
www.dailyshincho.jp/article/2018/08140559/?all=1&page=2

*5 こいもうさぎのブログ
有馬稲子は市川崑監督と不倫関係だった!
koimousagi.com/36103.html

*6 斜め上からこんにちは
市川崑が大女優・有馬稲子と不倫、中絶を暴露されたワケ
anincline.com/ichikawa-kon/

*7 事務職員へのこの1冊
三國連太郎のことPART5~有馬稲子、市川崑
12/09/01
blog.goo.ne.jp/hori1090/e/7f03ae77c8ce67c7e997984d868622b9

*8《上映館公式ページ》
生誕百年 女優特集・第2弾
〈宝塚歌劇出身の2大女優〉
越路吹雪と淡島千景
2024.4.29〜6.7 シネ・ヌーヴォ
www.cinenouveau.com/sakuhin/koshijiawashima/koshijiawashima.html
buccimane

buccimaneの感想・評価

4.5
オカマリと有馬さんがバチバチにメンチ切り合う間に入って感電死したいっすね…。
ハマり過ぎて2度見てしまったけど2度目にして三國さんが最初から思い切り気持ちを現してたことに気づいた。
越路さんが階段の手すり柱を弄ぶ様子に爆笑。
有馬さんと市川監督の17歳差の関係を思うと7歳しか違わないのに歳上ぶるなよってセリフもまた味わいが増しますな…。

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