天豆てんまめ

或る夜の出来事の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

或る夜の出来事(1934年製作の映画)
3.9
私が一番大好きなジャンルといえば、ロマンティックコメディ。

そのロマンティックコメディの先駆的作品で、ロマコメで初めてアカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優、主演女優含む5部門で受賞した「或る夜の出来事」。

今観ても、とってもチャーミングでユーモラスで楽しい素敵な作品。

大富豪の一人娘にクローデット・コルベール。後のシャーリー・マクレーンのようなショートカットでキュートでユーモアがある魅力的な女優。

彼女は、父の反対する男と婚約したためヨットに監禁されてるのだけど、海に飛び込んで逃亡。

その後、マイアミからニューヨーク行きの夜行バスに乗り込んで、そこで新聞記者でクビにされたばかりのクラーク・ゲーブルと出逢う。

席の取り合いの喧嘩からはまり、2人の珍道中が始まるので、ロードムービー的楽しさも溢れている。

とにかくこの2人の丁々発止のやり取りが面白い。

バスが動かなくなって、2人でモーテルに泊まるシーンはゲーブルが2人の間に毛布をつるして「壁」を作るのだが、これが後半、効いてくる。

また、2人がヒッチハイクしようとして、男が何度やっても捕まらない中、彼女はスカートを少しまくって美しい脚で一発で止めるシーンも笑える。

お互い意地を張りながらも、恋に落ちていく2人。王道のボーイミーツガールものだけど、とにかくセリフの応酬が素晴らしく、さすがこの時代で一番私が好きなフランク・キャプラ監督。

彼は「素晴らしき哉、人生!」「スミス都へ行く」「我が家の楽園」など名作揃い!3度アカデミー監督賞受賞してる。

クラーク・ゲーブルの粗野だけど優しさが滲み出て、男でも、かっこいいなと思う。

ニューヨークに近づくにつれ、魅かれあい、でも彼女の父親が元々の婚約者と結婚を認めたから話がややこしくなるのだけど、エンディングまでの疾走感とラストのオチの解放感は見事。

ロマンティック・コメディの原点ともいえる必見の作品だと思う。