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或る夜の出来事のtoriten45のレビュー・感想・評価

或る夜の出来事(1934年製作の映画)
3.1
セリフのやりとりが小粋でドタバタはないけどとてもにぎやかな映画でした。なんといってもグローデット・コベールが可愛らしいです。この作品、彼女抜きでは成功しなかったかも知れません。わがままですがチャーミングで気品あるお嬢様役にぴったりでした。

監督フランク・キャプラのご子息がインタビューで語られていたエピソードが面白かったです。

すでに売れっ子女優だったコベール自身、結構なわがままで勝気だったようでキャプラによる直々の出演交渉も大変だったようです。提示された条件はギャラが2倍で撮影期間は4週間!!この条件を飲んだのに撮影中は文句ばかり。挙げ句の果てに人生最悪の映画と言い放つ始末。
ちょっと意外ではありますがハリウッドスターらしいエピソードですよね。

本作はロマンチックコメディの元祖と言われて、『ローマの休日』('53)など様々な映画に影響を与えたのだそう。しかもアカデミー賞の主要5部門を総なめしました。

公開された1934年はアメリカの大恐慌時代真っ只中。政治色がなく笑いと恋物語が合わさった作風は大いに受け入れられたんでしょうね。スクリューボールコメディともいわれるこのジャンルはずいぶんと流行ったそうです。

ちなみにクラーク・ゲーブルの方は本作の後『風と共に去りぬ』('39)に出演した二枚目俳優です。今でいうとジョージ・クルーニーみたいな感じかな?彼もコベールと同じぐらいきかんぼうだったらしいです。

そんなわがままなスター2人を抱えて低予算かつ4週間内でアカデミー賞受賞作品を作り上げたフランク・キャプラという監督はやはりすごい人なんですねー。
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