ばーとん

サテリコンのばーとんのレビュー・感想・評価

サテリコン(1969年製作の映画)
4.4
最もフェリーニらしく、同時にフェリーニらしくない映画。珍しく映像がスタティックで端正なところが好き。音楽も比較的静かでいい。古代を舞台に描かれる、同性愛と人心の退廃と神の子といったモチーフや、眩しい太陽の下での砂漠の決闘シーンのプリミティブな感覚が、まるでパゾリーニ映画のよう。トリマルチョーネの葬式ごっこで般若心経が流れるデタラメさ加減なんざまんま「アポロンの地獄」。ハイラム・ケラーの野性味のある顔立ちはピエール・クレマンティにどこか似てる。しかし大した思想的帰結に至らず、EDが治って大喜びした青年がカニバリズムに忙しい金の亡者たちを尻目に、船旅にでるという、馬鹿々々しい結末はやっぱりフェリーニだった。
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