ピンク映画でありながら、やたら観念的なATGのような作りの瀬々敬久作品。
ロウ・イエの『ふたりの人魚』や大島渚の『東京戦争戦後秘話』に似ている。(メタ的な手法が)
全編を通し青臭くて理屈っぽい学生映画みたいな作品なのだが、これが結構重苦しくて切ない話。社会の下層階級への眼差しがぜんぜんピンク映画とは思えないドヨ〜ンとした雰囲気である。
この年の映画芸術誌のベストワン。如何にもといった感じで笑けてくる。極端なアート系とか政治的な映画がお好きであれば楽しめるが、普通の客は絶対に無視するだろう映画。
良くも悪くもインディーズ映画ならではの辛気臭さも含め、それなりの価値はある作品。この監督の中では『雷魚』と並んでお気に入り。先鋭的な作風は大いに評価したいところ。