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トゥルーマン・ショーのMykeのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ある日私が悩んでいた時、友人から

「この世は全て物語だからね。
悲劇を演じてるんだよ。」
と言われたことがあった。

私はその言葉に、
背中に電撃が走るほどの衝撃を受け、
その瞬間から世界が光り輝いたのを覚えている。


冒頭のシーンで、監督のクリストフが
“シェイクスピア”を口にしていたが、
まさに、
シェイクスピアの戯曲《お気に召すまま》
のなかで、

「全世界は舞台だ。
そして男も女も、皆ただの役者にすぎない。
それぞれが登場しては、次々と退場してゆく。」
という名セリフがある。

そこには、夢があり、希望があり、ロマンがある。


この映画は、
「自分の生活や人生は、誰かに見られている」

というテーマで、統合失調症という病気を
題材にしているのかなと思った。

でも実は、
自分の気持ちや、話す言葉・行動は

自分が一番側で見ていることに気付かされる。

人に対して憎しみを持てば、
一番初めに自分がその感情を感じる。

人に対して悪口を言えば、
一番近い所で自分がその醜い言葉を聞いている。

そして、
潜在意識のなかで、自分自身を
コントロールしていることもある。

だから、全ての人間は
その「誰か」という「自分」に
監視されながら生きているのだ。

そして、悪いことをすれば
悪いことが返ってくる。
結局、自分で自分の首を占める結末となる。

逆も然り。

人のために良いことをすれば
自分も幸せな気持ちになるし
良いことが返ってくる。


私は仏教徒なので、因果応報という教えを信じて生きている。

今の自分の言動は間違いなく未来に繋がる。
今の自分は過去の自分が作ってきたように。

この先の自分の人生が幸せでいれるかの保証はないけれど、

果たして、その「幸せ」とはなんだろうか?

辛いことがないことが幸せ?

私はそうは思わない。

辛いことや悲しいことは
これまでの人生で経験してきたように、
誰にでも必ず起こるし、絶対に免れない。 

だからこそ、今の弱い自分を認める勇気を出して
自分から逃げずに
真っ向から向き合っていくことが大切だと思う。

するとこの先、
予想外なこと(一般からみて不幸とされる出来事)
が起こったとしても

今の自分と向き合ってきたことが力となり、
少なからず乗り越えられプラスへ変えていけると思う。

それが、私の思う「幸せ」の一つでもある。


終盤、クリストフは

「外の世界より真実があるのは私が創った君の世界だ」
「君の世界に危険はない」「私は君の全てを知っている」
と言っていた。

キリスト教ではそれらを
“天地創造”と説く。“神の御加護”をという。
全ての出来事は“神のみぞ知る”という。
そして、“神は全てを見ている”と。

つまり、キリスト教の思想を
感じさせられる映画だと思った。

が、

父親の水難事故に遭遇し、
水恐怖症だったトゥルーマンは
嵐の海へ自らくりだし、水を克服した。

それは、クリストフが設定した
脚本にはなかったのだ。

トゥルーマンは
「おはよう!そして会えない時のために、
こんにちはとこんばんは!」
といつもの挨拶を言って、
自らの力で振り切り、
外の世界へ旅立っていき、番組は終了。

クリストフがトゥルーマンに
「本物のスターは、人々に希望と喜びを与え、
みんながそれを見る。」
と言っていたが、

トゥルーマンは脚本通りの人生を逸脱して
自分の人生を
自分の意思と力で切り拓いていった。

それこそが、真実のリアルストーリー。 

だから最後の視聴者たちの反応も
良かったのではないだろうか。


 

個人的な話になるが、
トゥルーマンの恋した相手・シルビアが図書館で
日本語を勉強していて、
「コンニチハ」と話しかけるシーンが
嬉しかったのと、
大学時代にフィジーへ
1ヶ月間短期留学(という名の旅行)
に行ったことがあるので、懐かしかった。
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