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トゥルーマン・ショーのhasseのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

演出4
演技4
脚本4
撮影4
音楽3
技術4
好み4
インスピレーション4

虚構(フィクション)は虚構だと気付かれなければ、それはその人にとって現実(リアリティ)となる。

アメリカ映画で「平凡な人間」の象徴としてしばしば表れる保険会社の営業マンの「現実」には誰も興味を持たないが、「現実を装った虚構」としてTVショー化された瞬間に、ダイナー中の人間が食事も給仕も忘れて固唾を飲んで展開を見守るコンテンツと化す。

トゥルーマンがセットの外へ脱出する選択をすることは視聴者に感動を呼び起こすが、彼らの興味はすぐに次のテレビ番組へと移ろっていく。他人の人生のリアルな機微や尾籠を漂白し、一過性の感動をまとったコンテンツとして消費させる力学を、テレビショーは強権的にはたらかせる。

24時間のリアリティショーを謳っているため、CMが挟めない代わりに、ショーの合間に奥さんなどの登場人物がスポンサーの商品をさりげなく紹介するシステムなど、ディテールが好き。

監督は元々アンドリュー・ニコルが候補だったらしいが、実現していたら『ガタカ』のようにもっとSF要素が強かったのだろうか。
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