もしかしたら今生きている世界・見ているものが夢かもしれない・ヴァーチャルの中を生きているだけなのかもしれない。
そう考えたことはあったが、この世の全てが作り物と演技によって出来ているかもしれないとは考えたことはなかった。
「大げさな演技やアクション、VFXにはうんざりだ!!」
とぶち上げるところから始まるこの映画。
「嘘がないから面白い」と序盤事あるごとに監督によって
繰り返し語られる。
しかし
僕たちは知っている。
「予定調和」や「嘘っぽさ」、「作り物感」が実はとても面白いということを。
以下ネタバレ。
親友との作られた会話・親父との再会によって全てを悟った彼は翌日を普段と全く同じように「演じる」が、観ている人はほとんど気づかないシーンが象徴的だ。
さらに
最終盤、監督と対峙するシーン。
「作られた安心の世界に彼は戻るはずだ」と監督。
しかし彼は「本音」ではなく「演技」で応答するという痛烈な皮肉をかます。という熱い展開。
それに沸き立つ観客。
ホンモノの演技をするよりももっと観客が
期待する像を演じることで大衆は熱狂する。
娯楽とは何か?
テレビジョンの欲望とは何か?
我々が渇望するものは何か?
様々な想いが錯綜した。
もしかしたらこの世に「ホンモノの演技」
など存在せず、ほとんどの人が
周囲に期待された自分を演じている優れた役者なのかもしれない。